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阿部研究室

3号館331B室
准教授 阿部新助

阿部研究室ホームページ

研究テーマ
  • 流星,隕石の惑星大気突入発光に関する研究
  • 小惑星・彗星の研究
研究内容

地球には,毎日約100−300トンの地球外物質が降り注いでいる.その殆どは,彗星や小惑星からやってくるメテオロイド(meteoroids)である.一般にメテオロイドは,直径がμm〜mサイズのダスト (dusts)で,直径約10 mを越えると小惑星と呼んでいるが,学術的に明確な境界は定義されていない.メテオロイドが超高速で地球大気突入する際の空力加熱によるアブレーション・プラズマ発光が,流星現象である.メテオロイドの多くは,直径10〜100μmサイズのIDPs (In-terplanetary Dust Particles) と呼ばれる宇宙塵で,通常人間が目視できる流星は,直径0.5〜数mmサイズのマイクロメテオライト(Micrometeorites)である.
阿部研究室では,小惑星,彗星,流星,隕石といった太陽系で最も始原的な天体やそれに付随する塵(ダスト)を対象に,@ 望遠鏡,カメラ,大型レーダーなどを用いた地上観測,A 地球大気突入を模擬した人工流星実験,B 小惑星探査機「はやぶさ2」などによる直接探査,C 惑星摂動を考慮した彗星・小惑星や放出ダストの軌道進化計算など,観測-実験-探査-理論の手法を駆使した研究テーマに取り組んでいる.

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流星撮像・分光カメラシステムによりキャンパス上空の常時自動観測を行っている.流星の分光観測により,メテオロイドの組成やプラズマ温度などの物理量を計測し,アマチュア観測網と協力した多地点観測からは,流星の惑星間軌道が決定できる.組成と軌道情報から母天体彗星・小惑星の関連を明らかにしていく.また,京都大学生存圏研究所・信楽MUレーダー観測所(周波数46.5MHz, 最大出力1MW)を利用した流星ヘッドエコー観測により,昼夜天候の影響を受けないレーダー観測から,宇宙塵の軌道決定と超高層大気中でのアブレーション過程を調べている.
天然の流星は,組成・速度・大気突入角・質量・形状・密度などの不確定要素が多いため,流星発光の物理化学過程には不明な点が多い.流星のアブレーション素過程を理解する目的で,我々が製作する各種パラメーターが既知の流星模擬体を用い,JAXA惑星大気突入環境模擬装置(アーク加熱風洞)を使った人工流星プラズマ実験を行っている.本基礎研究を応用し,人工衛星やロケットを用いて,宇宙から人工的に流星(雨)を発生させる大学-民間企業の共同プロジェクトも実施している.

彗星は太陽に接近する近日点前後でガスと共にダストを放出し,彗星核との相対速度により,彗星軌道に沿ったダストの帯=ダスト・トレイルが形成される.このダスト・トレイルと地球が交差する際,多くの流星が短時間に発生する流星群が観測される.離心率の大きな彗星の場合,木星などの外惑星と遭遇することで,彗星やダスト・トレイルが重力摂動を受けて軌道が複雑に変化する.本研究では,惑星・準惑星・月の重力摂動を考慮したダストのN体計算を行い,流星群予報を行っている.また,小惑星を起源とするダストや隕石の軌道進化計算を行い,未だに分かっていない小惑星と流星・隕石の力学的関係についても研究を進めている.


太陽光が小惑星表面で散乱されると,表面に含まれる鉱物種によって波長ごとの反射率が変化する.この散乱された太陽光を波長ごとに分けることを分光といい,波長ごとの光の強度分布をスペクトルと呼ぶ.小惑星の分光で得られるスペクトルと,地上で採取された隕石の反射スペクトルを比較することで,隕石種に対応する小惑星のタイプ分けが行われている.阿部研究室所有の口径28cmシュミット・カセグレン望遠鏡と新規開発した超低分散可視光分光器を用いて,小惑星表層の鉱物や宇宙風化とよばれる表面状態の変化を調査している.また,小惑星の自転周期・形状や衛星の存在は,小惑星の自転に伴う光度変化=ライトカーブ(lightcurve)の観測から推定できる.本研究では,国内外の天文台も適宜利用しながら,小惑星の物理特性について研究に取り組んでいる.また,2018年に小惑星1999JU3に到着する探査機「はやぶさ2」による直接探査を計画している.
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